のりりん鹿児島

基本的に自転車トレーニングと覚え書きです(^-^;

竹谷賢二さんの『ロードバイクの作法 やってはいけない64の教え』の内容をざっくりとレビューしてみました

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満を持して(?)発売された、NHKチャリダーで有名な竹谷賢二さんの【ロードバイクの作法】を3回ほど斜め読みしましたので、気づいた点など書いていきます。

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まず目次を開いてびっくり、64項目全ての頭に「やってはいけない」がずらっと並んで書かれていて、その下は「〜するな」という否定的な命令文になっています(^_^;

これだけで、一家言ある方は「なんでだよ!」と思って、気になるページから読まざるを得ない事態になります(笑)

否定的な題目ばかりですが、その内容はたいへん丁寧に書かれており、ターゲットとしては、初心者〜中級者を意識していると、何かの紹介文で目にしたような記憶があります。

 

序章のPart1では【本全体の概要】をざっと説明してあります。

「すぐ新たなトレーニングに飛びつくな」は、たいへん耳が痛いお言葉です(^_^;

 

Part2からは【バイクフィッティング】について書かれており、この点に関しては、中級者の方は経験からくる感覚で、なんとなく掴めている部分だと思います。

フィッティングの指標がなくて悩んでいる初心者の方は、この部分は必見です。

その中で、竹谷さんなりの最適なクランク長や使い分けについても言及されており、私も初心者の頃かなり悩んだ部分でしたので、たいへん参考になりました。

クランク長さがどのような影響を及ぼすのか、竹谷さんの意見を知りたい方は、読み飛ばさずチェックする事をお勧めします。

 

Part3のペダリングの作法】では、ここ数年ペダリングモニターの普及やコーチングなどで一気に多くの理論が広がった、ペダリングの方法について書かれています。

「下死点で踏み込まない」や「引き足をしない」、「足首を固定しない」など、基本的な事から始まりますが、個人的にこの本で一番肝心な部分は、この後にかなりのページを割いて説明される「駆動力と慣性力の違い」だと思います。

この違いを理解してもらうために、チェーン引きレッスン方法が出てきますが、多くのサイクリストは、クランクを回し→フロントギアを介してチェーンに伝わり→リヤギアを引っ張ってホイールが動く、というイメージはあまり持っていないのではないでしょうか。(ペダルを踏む→自転車は前に進む、みたいな…)

そこをイメージさせるための練習を反復することによって、クランクの回転中に適切な力の掛ける位置を理解してもらおう、という意図が見て取れます。

それを踏まえた上で、右と左の踏み替えを、体を押し戻す反力という言葉を使って、最終的に動的安定(力の均衡を保つ感覚)に持っていきましょう!という事で〆られています。

ここでハッとしたのは、去年のオフシーズン明けに体現できていた、フワッと登坂できる感触というのは、この動的安定からもたらされるものではないか、という重大なヒントを得ることができました。

個人的にはここの部分だけで、この書籍を買った価値があると感じました。

ただ、普段あまりペダリング動作を気にせずに乗っている方は、動作の細かい図解が掲載されていないこの文章だけでは、動作安定がどういう動きの繰り返しなのか、イメージしづらいのではと思います。

乗り始めたばかりの初心者の方ですと、なおさらですね(^_^;

 

Part4【フォームの作法】は、スマートコーチングなどのコーチングサービスを受けている方はお馴染みだと思いますし、中級〜上級の方は無意識にできている部分ではないでしょうか。

また、後半のタイヤの変形については初見で、漠然と空気圧をセッティングしていた身としては、取り組むべき内容だと感じました。

 

Part5は、いよいよ【トレーニングの作法】です。

トレーニングとありますが、よくある3分何ワットで〜というメニューは全く出てきません(笑)

その内容は、平日と休日トレーニングの時間の使い分け、休息や睡眠時間をしっかり取ること、トレーニングの目的を明確にすることなど、フルタイムワーカーとしてレースに参加し、トライアンドエラーを繰り返しつつ、結果を出してきた竹谷さんのノウハウがまとめられています。

また、筋力トレーニングやヨガ、コアトレーニングなどの補強トレーニングの有用性についても、言及されています。

 

最後のPart6は、【レースの作法】

レースの作法といっても、レース中にどこに位置取りしろ!とか、このタイミングでアタックしてパワーを使え!と書いてあるわけではなく、あくまでレースに臨むまでの体や機材を、最適なパフォーマンスに保つ方法や、テーパリングなどの疲労抜き、レースシーズン中のコンディショニングなどを中心に書かれています。

レース初心者の方で、レース前日までどのような流れでコンディションを整えれば良いのか、自己流な方はぜひ参考にされてみて下さい。

 

まとめとして、初級者〜中級者の方でレース指向の方や、より効率的な体の使い方や、ペダリング技術の向上を求めている方は、ぜひ読んで頂きたいと思います。

新書ですので、それほどみっちり文字は埋まっていませんし、読むのが速い方は1〜2時間もあれば、全て読み終えることができる、適切なボリュームだと思います。

イメージしやすい図解が少ないのが惜しいところですが、トレーニング専門書よりも気軽に読め、かつ竹谷さんらしい丁寧な説明文なので、掲載されているレッスンを通じて文章を理解し、それを実践していくことで、大きなレベルアップに繋がる可能性を望むことができる、良書だと思います。 

ロードバイクの作法 やってはいけない64の教え (SB新書)

ロードバイクの作法 やってはいけない64の教え (SB新書)

 

 

普段、私はkindle版を購入するのですが、今回は新書版を購入しました。

なぜかというと、この本のように目次を索引として目的のページを探し出すタイプの本は、紙のほうが使い勝手が良いからです。

電子書籍は嵩張らなくて良いのですが、本が増えていくにつれて下の階層に埋もれていき、ひょんな事で読み返すことがなくなりますし、ロードバイクカタログなどの大判本は、やはり紙のほうが一覧性が高いこともあり、最近はその本の性質によって、紙か電子書籍かを使い分けています。

何度も読み返して参照するタイプの方は、新書版をお薦めします(^_-)-☆